住宅の取得は人生の中で最も大きな買い物のひとつ。取得に際しては、生活費や教育費などご家族の状況やライフプランに合わせて、しっかり考えていきたいところですよね。
中古住宅の取得や家計に関するお話を、家計(マネー)の専門家で、4人のお子さんを育てあげたお母さんでもある、ファイナンシャルプランナーの山際登子(やまぎわすみこ)さんに伺いました。
4回シリーズでお届けします。
住宅取得額を決める前にシミュレーションをしましょう
住宅取得額を決める前に、住宅購入後の生活費など収支シミュレーションをお勧めします。あなたの家計に合った購入適正価格を把握することで、住宅ローン地獄回避につながります。
ローンの支払額は、世帯年収の何割までがベストなの?
住宅ローンの審査では年収の7倍までが借入金額の上限とされています。しかし、余裕を持って年間のローン支払額を世帯年収の25%以内にしておくと安心です。住宅取得後にどんな生活がしたいか考えたうえで、あなたに合った支払額を考えましょう。
頭金を貯めてから買ったほうがいいの?それともすぐ購入したほうがいい?
判断基準になるのが現在お住いの家賃額です。
例えば年収600万、土地建物3000万円、フラット35利用1.12 %、35年ローン、
5年間で500万円貯めてからローンを組む場合は家賃の分岐が約8万円となります。
約8万円以上家賃を払っている場合はローンを組んですぐ建てるのがお得だということです。
頭金貯金をするために5年間だけ実家暮らしをして購入するというのも良いかもしれないですね。
お得なのは、どのパターン?
例えば、土地建物1000万円、フラット35利用、20年ローンで自己資金が500万円あった場合、次の3パターンでお得なのはどれでしょうか。
- 頭金を入れる
- 繰り上げ返済をする
- ずっと借りる
どれが一体お得なのでしょう。
検証の結果、低金利の現在は安く長く借りて、頭金として用意した資産は長期運用するのが得策です。運用商品の選び方次第ではもっと効果的なものになります。
また、何かあった時(例えば配偶者が病気で働けなくなり収入が減った等)にいつでも使える大きなお金が身近にあると心理的に安心ですよね。
①のメリット:月々の返済額が少ない
②のメリット:返済期間が短い
③のメリット:まとまったお金が常にある、運用次第では一番お得に。
※③のドル建て貯蓄保険は30歳男性のケースです
借り入れ条件により、金利や手数料は異なります。まずは金融機関やファイナンシャルプランナーにシミュレーションしてもらうことをおすすめします。
教育や老後の資金も考えて、最善策を選びましょう
住宅にばかりお金をかけた結果、教育資金や老後の資金が不足してしまう!なんていうことのないように、ぜひ運用も意識していただくことをお勧めします。
家計を守るために「貯める」から「増やす・運用する」という考えも取り入れることも、これからの時代には大事なことではないかと考えています。
運用については、できるだけリスクの少ない中でリターンをとれる長期運用をしていくことをおすすめしています。
目先の利益だけではなく、家計のお金を守る考え方をしましょう
ローンの支払額を少なく抑えるのも、家計を守る大事なポイントですが、現在は低金利。安く長く借り入れすることができるので、頭金として用意した資金を運用することで、結果大変お得に住宅取得ができるのです。
「運用なんてよくわからない!」という方も多くいらっしゃるかもしれませんが、心配なく!身近にいる、幅広い商品知識のあるファイナンシャルプランナーにぜひ相談してみてください。
より良い生活を送るためにも、家族の将来を守るためにも、家計運営の知識を増やすきっかけをぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
執筆者プロフィール
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4人の子供を持ち、主婦、妻、母、経営者をこなしています。 プログラマーとして5年間、専業主婦として8年間、2002年からファイナンシャルプランナーとして活動をはじめました。現在は保険、確定拠出年金、投資信託、債券など金融商品全般をトータルで取り扱う「トータルコンサルやまぎわ」として活動しています。毎月の資産運用セミナーや住宅ローンセミナーは好評でのべ1500名の方に聴いていただきました。個人、法人個別相談は年間150件を超えます。
趣味はアルゼンチンタンゴを踊ること。トータルコンサルやまぎわウェブサイトにて、家計の様々な情報を提供中
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