中古住宅で快適に暮らすには、暮らしやすくするカスタマイズが必要だったりしますよね。とくに収納は大事なポイント!
整理整頓され、居心地の良い我が家にするための収納術を、1級建築士で住空間プランナー、越後収納美人主宰のこばやしりえこさんからアドバイスしてもらいます。
押入れを上手に使う3ステップ
中古住宅の場合、収納部分は「クローゼット」として作られていることは少なく、押入」であることがほとんどです。ではこの「押入」を上手に使って収納する術(すべ)を三段階でお話します。
《第1段階》襖戸(ふすま)などの押入の戸を外す
戸を外すことで、押入全部、端から端まで一気に使うことができるんです。
「それだけで使いやすくなるの?」とよく言われますが、本当にそれだけで使いやすくなります!
引違いの戸があると、押入の真ん中が見えませんよね。見えないからモノも出し入れ出来ないから、デッドスペースになっています。でも、戸を外すと真ん中が見えるのでデッドスペースが無くなります!
戸は片方づつしか開かないので、どんなに広げても79cmの幅しかありませんが、戸を外せば161cmの幅になります。例えば100cmある布団、79cmだと仕舞いにくくて仕方ありません。でも、161cmの幅があれば、スムーズに布団を仕舞えます。これで、布団を出しっ放しのままにすることなくスッキリとした部屋になります。
また、収納ボックスを押入の端から端までキッチリと並べることができます。これで収納力もアップしますし、隙間にモノ(紙袋とか)を詰めることが無くなります。またまた、スッキリとしますね。
そして、戸の代わりにロールカーテンなどを取付けます。ロールカーテンはデザインも豊富で、お部屋のインテリアのイメージに合わせることが出来ます。
《第2段階》押入の棚板を外す
釘抜きと金槌があれば、DYIを経験済みの方なら誰でも棚板を外すことが出来ます。
押入の棚板は釘で止まっているので、その釘を抜けば外せます。
確かに「簡単に」とはいきませんが、少し苦労してでも外す価値はあります。
というのも、押入の奥行きは76cmもあり、女性では押入の奥まではなかなか手が届きません。それに、棚板の取付いている高さが、世代によっては中途半端でしゃがんだり背伸びしたりしないと使いにくいからです。棚板を外すと、がらんとした空間が出来ます。ここに、手持ちのハンガーラックを入れて洋服を掛けたり、収納ボックスを押入の下から上まで並べて効率よく収納力をアップ出来ます。
DIYが得意であれば、ハンガーパイプを取付けて洋服を掛けた下の空間も収納に使うことが出来ます。ハンガーラックではキャスターがあって、下が使えませんから。棚板を外すだけで、はい!クローゼットが出来上がります。「押入しか無い」と諦めることはありませんよ。
《第3段階》短い幅の棚板を取り付ける
ここは大工さんの出番になります。但し、DIYが大好きな方は自分で作れます。
棚板を外した押入の奥行きは76cmあります。洋服をハンガーに掛けパイプに吊るすのに必要な幅は60cmです。ハンガーパイプは手前から30cmのところがパイプの中心になるよう取付けるのが基本です。そうすると、76−60=16cmの空間が奥に出来ます、ここに棚を取付るんです。16cmの幅ですが、バックやキャップなどの小物や畳んで仕舞うセーターなどの収納に使えます。もちろん棚を取付けるのは押入の奥だけではなくて、半分とか2/3をハンガーパイプにして残りを3、4段の棚にしても使い勝手がよいでしょう。
三段階で押入の収納術をお話しして来ましたが、「たっぷりと収納できる押入」の場合です。
違った切り口で考える押入収納術を応用編として、参考までにお話します。
《応用編》押入三段階活用をマスターしたら、次は応用編です
第1段階の戸を外す、をやったあとの応用です。
もしも、押入の棚板の取り付いている高さが70cm前後であったら、机にすることも出来ます。机の高さはダイニングテーブルでも事務机でも70cmです。事務机の縦幅も70cmです。押入は奥行きが76cmですから、ほぼ事務机と同じ大きさです。
近くのコンセントからタップコンセントを押入の中に引込んで、パソコンはもちろん照明も取付られます。棚板の奥に本棚を取付れば、本はもちろん、細々とした書類も整理して置いておくことが出来ます。押入の下段にミシンやアイロンを収納しておけば、家事スペースとしても使えます。
押入のスペースを生かしたプチ書斎を作ることによって、テーブルの上に置きっ放しにしがちな「モノ」がすっきりと片付きます。
このように、お家の中のどの部屋に押入があるかによって、どの段階まで押入に手を加えるかが決まります。寝室であれば第1段階までとか、いや洋服も収納したいから第3段階にするとか、何を収納するかによって選んで下さい。「モノ」をきちんと収納できれば、お家の中がすっきりして、中古住宅をご自分たちの大好きなイメージのインテリアでカッコ良く住むことが出来ます!
執筆者プロフィール
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東京工芸大学工学部建築学科を卒業後、東京の設計事務所勤務を経て、家業の有限会社田中栄一建築設計事務所代表取締役に就任。整理収納アドバイザー1級資格保有。住空間収納プランナー及び整理収納アドバイザーとして、新聞・雑誌などの様々なメディアにコラムを掲載中。
1級建築士だから、今までに設計してきた”お家”の収納バリエーションがたくさんあります。その中からでも、あなたにぴったりの収納が見つかります。収納を考えるのが大好きですし、自分では得意だと思ってます。この部屋には何をしまいますか?と聞いて、それを整理して、その部屋に合った収納を設計しています。
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